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QI28 再発がんに対する化学療法の治療目標、合併症の説明

適切な説明・情報提供

実施率の計算方法

分子:
   治療目標、予測される合併症の説明があったことの診療録記載がある患者数

分母:      再発がんへの化学療法を受けた患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

特になし

 

根拠

 多くのがん種にとって、再発がんに対する化学療法は根治が困難である。再発がんに対する化学療法の効果としては、延命効果やQuality of Lifeの向上が想定されている。しかし、化学療法は副作用を伴うことも多く、再発がんに対する化学療法を受ける患者はその利益と不利益に基づいて治療を受けるか判断するべきである。しかし、現実には必ずしもこれらのコミュニケーションは十分ではない。再発がん後に化学療法を受ける場合には、その治療目標や予測される合併症、副作用を知ることにより、残された時間のQuality of Lifeを高めることにつながると考えられる。事前のケア計画作成過程に関与する近年の患者と医師のコミュニケーション介入は、ホスピスの利用、患者の知識、患者の満足感および心理的適応に好ましい効果をもたらすことが明らかになっている。また、診療ガイドラインだけでなく法的および倫理的コンセンサスは事前のケア計画の重要性を支持している。

 従って、情報の共有により患者中心の意思決定が可能となり、より高いQuality of Lifeが期待されることから、再発がんに対して化学療法を受けるがん患者については、病状を知りたくないとの明らかな患者の意思表明がない限り、治療目標(根治を目的としたものか、延命を目的としたものか、症状緩和を目的としたものか)、および予測される合併症が説明された旨の診療録記載が存在するべきである。

 

参考文献

1.  Loblaw DA, Perry J, Chambers A, Laperriere NJ. Systematic review of the diagnosis and management of malignant extradural spinal cord compression: the Cancer Care Ontario Practice Guidelines Initiative's Neuro-Oncology Disease Site Group. J Clin Oncol. 2005; 23(9): 2028-37.

2.  Klimo P, Jr., Kestle JR, Schmidt MH. Treatment of metastatic spinal epidural disease: a review of the literature. Neurosurg Focus. 2003; 15(5): E1.

3.  Patchell RA, Tibbs PA, Regine WF, et al. Direct decompressive surgical resection in the treatment of spinal cord compression caused by metastatic cancer:a randomised trial. Lancet. 2005; 366(9486): 643-8.

4.  Klimo P, Jr., Thompson CJ, Kestle JR, Schmidt MH. A meta-analysis of surgery versus conventional radiotherapy for the treatment of metastatic spinal epidural disease. Neuro Oncol. 2005; 7(1): 64-76.