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QI 6 術前の腹部画像検査

治療前評価

実施率の計算方法

分子:
     術前に肝臓を含む腹部造影CT(行えない場合には他の腹部の画像検査)が施行された患者数

分母:      待期手術を受けたcT1(SM)以深の大腸癌患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

ACOVE-3、JNCI

 

根拠

 大腸癌で最も頻度の高い転移臓器は肝臓であり、肝転移の有無は治療方針の決定に大きく影響することから、術前の腹部の画像検査は重要である。また、原発巣の診断においても、壁の肥厚や周辺脂肪濃度の変化、所属リンパ節腫脹の有無、周囲臓器への浸潤の有無などの評価にもCTが有用である。腹部超音波検査(US)に比し、被曝・費用等のデメリットはあるものの、CTにより得られる情報の有益性が優ると考える。

 また、肝転移の描出には造影CTが有用である。造影剤アレルギーまたは腎機能障害を有する患者に対しては、造影CTに代わり腹部超音波検査またはMRIによって肝転移の有無を確認することが推奨される。

 CTの施行・非施行の直接比較から患者アウトカムの改善を検証したエビデンスはないが、特に進行癌、または遠隔転移が疑われる患者では、術前CTにより術式および治療方針が変更となる可能性がある。さらに、術前にCTを行うことで、術後サーベイランスに際して比較対象(ベースライン)が得られるという利点もある。

 以上より、術前腹部CTによる転移検索・局所の評価は、正確な病期診断および治療方針の決定に有用であり、また術後サーベイランスにおける比較対象(ベースライン)となることから、cT1(SM)以深の大腸癌に対して待期手術を受ける患者は、術前に肝臓を含む腹部造影CT(行えない場合にはUS・MRI等の他の腹部の画像検査)が行われるべきである。

 

参考文献

1.  大腸癌研究会編. 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2014年版. 東京: 金原出版; 2014.

2.  Horton KM, Abrams RA, Fishman EK. Spiral CT of colon cancer: imaging features and role in management. Radiographics 2000;20:419-30.

3.  McAndrew MR, Saba AK. Efficacy of routine preoperative computed tomography scans in colon cancer. The American surgeon 1999;65:205-8.

4.  Barton JB, Langdale LA, Cummins JS, et al. The utility of routine preoperative computed tomography scanning in the management of veterans with colon cancer. American journal of surgery 2002;183:499-503.

5.  Otchy D, Hyman NH, Simmang C, et al. Practice parameters for colon cancer. Diseases of the colon and rectum 2004;47:1269-84.