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QI14 リンパ節転移を認めないcT1(SM)癌に対するリンパ節郭清

術式

実施率の計算方法

分子:
     D2以上の郭清が行われた、もしくは行われない理由が診療録に記載されている患者数

分母:      リンパ節転移を認めないcT1(SM)癌と術前診断され、手術を受けた大腸癌患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

大腸癌治療ガイドライン(医師用・2014年版)

 

根拠

 大腸癌患者において、リンパ節郭清の範囲を変化させて予後を比較したRCTはない。大腸癌研究会の大腸癌全国登録(2000~2004年症例)における集計では、pT1(SM)癌のリンパ節転移率は9.2%であった。pT1(SM)癌症例3151例のうち、腸管傍リンパ節転移は全症例の7.3%、中間リンパ節転移は1.9%、主リンパ節転移は0%、4群リンパ節転移(第7版ではM(遠隔転移)に分類される)は0.1%であった。つまり、pT1(SM)大腸癌では、主リンパ節以遠に転移を有することはまれであり、中間リンパ節を完全に郭清するD2郭清が十分かつ妥当であると考えられる。

 以上より、pT1(SM)大腸癌では約10%にリンパ節転移があるが、そのほとんどが中間リンパ節までの転移であることから、術前・術中にリンパ節転移を認めないT1(SM)癌と診断された大腸癌患者の手術では、D2以上の郭清が行われるか、行われない場合はその理由が診療録に記載されるべきである。

 

参考文献

1.  大腸癌研究会編. 大腸癌治療ガイドライン 医師用2014年版. 東京: 金原出版; 2014.

2.  Kitajima K, Fujimori T, Fujii S, et al. Correlations between lymph node metastasis and depth of submucosal invasion in submucosal invasive colorectal carcinoma: a Japanese collaborative study. J Gastroenterol;39:534-43.2004.

3.  Hida J, Yasutomi M, Maruyama T, Fujimoto K, Uchida T, Okuno K. The extent of lymph node dissection for colon carcinoma: the potential impact on laparoscopic surgery. Cancer;80:188-92.1997.