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QI16 結腸癌手術における腸管切除範囲

術式

実施率の計算方法

分子:
     腫瘍から口側・肛門側ともに5cm以上の腸管が切離された患者数

分母:      手術を受けた結腸癌患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

大腸癌治療ガイドライン(医師用・2014年版)

 

根拠

 結腸癌手術における腸管切除範囲について、大腸癌治療ガイドライン(医師用・2014年版)では、「D1, D2, D3郭清では、『大腸癌取扱い規約』に定める腸管傍リンパ節が郭清されるよう、切離腸管長を決定する」、「結腸癌における腸管傍リンパ節の範囲は、腫瘍と支配動脈の位置関係によって定義される。腫瘍辺縁から10cm以上離れた腸管傍リンパ節の転移は稀である」と記載している。結腸癌の至適腸管切除範囲については複数の報告があり、Hidaらの結腸癌164症例における深達度別の腸管軸方向の転移リンパ節の距離についての検討では、腸管軸方向10cmを超える進展は全症例のわずか1.2%であり、pT1癌では3cm、pT2癌では5cm、pT3・pT4癌では7cmの口側・肛門側腸管を切除することを推奨している。また安野らの報告では、右半結腸癌治癒切除症例226例のリンパ節マッピングにおいて、腸管軸方向5cmを超えてのリンパ節転移を認めなかったことが示されている。

 以上より、腫瘍から5cm以上離れた壁在リンパ節および腸管傍リンパ節の転移はまれであることから、結腸癌患者の手術では、腫瘍から口側・肛門側とも5cm以上の腸管を切離されるべきである。(標本摘出後の収縮も考慮し、5cmを基準とした)

 

参考文献

1.  大腸癌研究会編. 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2014 年版. 東京: 金原出版; 2014.

2.  Hida J, Yasutomi M, Maruyama T, Fujimoto K, Uchida T, Okuno K. The extent of lymph node dissection for colon carcinoma: the potential impact on laparoscopic surgery. Cancer 1997;80:188-92.

3.  安野正道, 森武生, 高橋慶一. 大腸癌における新しい腸管切除範囲提案. 日本消化器外科学会雑誌 1997;30:2112-6.