QI18 肉眼的根治度の診療録への記載
術後の記録と説明
実施率の計算方法
分子: |
癌遺残または肉眼的根治度が診療録に記載されている患者数 | |
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分母: | 手術を受けた大腸癌患者数 |
参照ガイドライン/先行研究
JNCI
根拠
術中に切除されなかった腫瘍はすべて、その後の治療方針と予後に大きな影響を与える。大腸癌取扱い規約(第8版)では、手術治療後の癌遺残をR0~R2に、根治度をA~Cに分類し記載するよう推奨している。2400例の癌遺残の程度と生存率との関連についての検討では、5年生存率はR0で78%、R1で41%、R2で2.4%と、癌遺残度と予後が強い相関を示すことが報告されている。他の研究においても同様な報告がなされている(5年生存率:R0で82%、R1+R2で35%)。根治度もまたR因子を含む手術治療の評価であり、重要な情報である。手術治療後の癌遺残または肉眼的根治度を記載することは、手術結果を効率的に表示するとともに、再発リスクの評価や今後の治療方針の決定に重要な情報となる。
以上より、手術治療後の癌遺残または肉眼的根治度は、手術後の再発リスク評価や治療方針決定に有用な情報であることから、手術を受けた大腸癌患者では、手術治療後の癌遺残または肉眼的根治度が診療録に記載されるべきである。
参考文献
1. 大腸癌研究会編. 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2014年版. 東京: 金原出版; 2014.
2. 大腸癌研究会編. 大腸癌取扱い規約 2013年7月 第8版. 東京: 金原出版; 2013
3. Staib L, Link KH, Blatz A, Beger HG.
Surgery of colorectal cancer: surgical
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World journal of surgery 2002;26:
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4. Andreoni B, Chiappa A, Bertani E, et al. Surgical outcomes for colon and rectal cancer over a decade: results from a consecutive monocentric experience in 902 unselected patients. World journal of surgical oncology 2007;5:73.