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QI23 単発性脳転移に対する手術・放射線治療

非小細胞肺癌に対する放射線療法

実施率の計算方法

分子:
     放射線治療(または手術) が行われた患者数(神経症状によるPS低下を除く)

分母:      非小細胞癌の単発性脳転移(他臓器にも転移がない)と診断され、神経症状のあるPS0~1の患者数
(平成23年6月改訂) 前版を表示隠す

注:「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 2014年版」では、放射線治療では、定位放射線治療を推奨

(前版)

分子:
     手術あるいは放射線治療が行われた患者数(神経症状によるPS低下を除く)

分母:      非小細胞癌の単発性脳転移(他臓器にも転移がない)と診断され、神経症状のあるPS0~1の患者数
■変更理由
近年放射線治療の比率が高まることが予想されるため、文言を、「放射線治療(または手術)」に変更した。

 

参照ガイドライン/先行研究

肺癌診療ガイドライン2005年版

 

根拠

 肺癌診療ガイドライン2005年版では、非小細胞癌の孤立性脳転移には手術あるいは定位手術的照射を、また脳転移一般に関して標準治療の1つとして全脳照射を推奨している。孤立性脳転移症例に対して全脳照射のみと全脳照射+手術を比較したRCTにおいて、手術による生存期間の延長、Quality of Life(QOL)の改善などが報告されている。一方、手術に全脳照射併用・非併用を比較したRCTでは、生存期間の延長は見られなかったものの、脳内再発や局所再発が統計学的に有意に減少することから、全脳照射を追加することは脳転移の再発低下に有用であると考えられる。

 以上より、脳転移に対するこれらの治療は局所制御、生存期間、QOLの改善が期待できることから、非小細胞癌の単発性脳転移(他臓器にも転移がない)と診断され、神経症状によるPS低下例を除いて、神経症状のあるPS 0~1の患者に対しては放射線治療あるいは手術が行われるべきである。

 

参考文献

1.  日本肺癌学会, ed. 肺癌診療ガイドライン 2005年度版. 東京: 金原出版; 2005.

2.  Patchell RA, Tibbs PA, Walsh JW, Dempsey RJ, Maruyama Y, Kryscio RJ, Markesbery WR, Macdonald JS, Young B. A randomized trial of surgery in the treatment of single metastases to the brain. N Engl J Med 1990;322(8):494-500.

3.  Patchell RA, Tibbs PA, Regine WF, Dempsey RJ, Mohiuddin M, Kryscio RJ, Markesbery WR, Foon KA, Young B. Postoperative radiotherapy in the treatment of single metastases to the brain: a randomized trial. JAMA 1998;280(17):1485-9.

4.  Fuentes R, Bonfill X, Exposito J. Surgery versus radiosurgery for patients with a solitary brain metastasis from non-small cell lung cancer. Cochrane Database Syst Rev 20061):CD004840.