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QI11 周術期の深部静脈血栓症予防

周術期医療(直前・直後)

実施率の計算方法

分子:
     以下のいずれかによる深部静脈血栓症予防が行われた患者数
・低用量ヘパリン
・間欠的空気圧迫法(IPC)
・弾性ストッキング

分母:      定型手術を受けた胃癌患者数(血栓の判明している患者は除く)

 

参照ガイドライン/先行研究

ACCP:Prevention of Venous Thromboembolism

 

根拠

 弾性圧迫ストッキングのDVT予防効果に関するコクランレビューでは、プラセボと比較した弾性圧迫ストッキングの術後DVTの予防効果が示された。間欠的空気圧迫装置(IPC)のDVT予防に関するメタアナリシスでは、IPCはDVTの予防につながることを報告している。またACCPガイドラインと血栓予防法に関するコクランレビューでは、一般手術患者において低用量ヘパリンと低分子ヘパリンは同等のDVT予防効果があると結論している。第7回アメリカ胸部疾患学会(ACCP)ガイドラインでは、手術を受ける40歳以上の胃癌患者は、術後静脈血栓症や肺血栓症の最高リスクと分類され、低分子・低用量ヘパリンに加えて機械物理的な予防方法を使用することを推奨している。

 以上より、胃癌手術患者は静脈血栓症のリスクが高く、適切な予防処置が有効であることから、定型手術を受ける胃癌患者(血栓の判明している患者は除く)には、低用量ヘパリンまたは低分子ヘパリン、間欠的空気圧迫法(IPC)、弾性ストッキングのいずれかによる術後深部静脈血栓症予防を行うべきである。

 

参考文献

1.  Geerts WH, Pineo GF, Heit JA, et al. Prevention of venous thromboembolism: the Seventh ACCP Conference on Antithrombotic and Thrombolytic Therapy. Chest 2004;126:338S-400S.

2.  Heit JA, Silverstein MD, Mohr DN, Petterson TM, O'Fallon WM, Melton LJ, 3rd. Risk factors for deep vein thrombosis and pulmonary embolism: a population-based case-control study. Archives of internal medicine 2000;160:809-15.

3.  (財)がん研究振興財団. がんの統計'07; 2007.

4.  中島聰總, 山口俊晴. 癌研胃癌データベース. 東京: 金原出版; 2006.