ホーム > 胃癌 > QI24 化学療法に関する患者への説明

QI24 化学療法に関する患者への説明

化学療法

実施率の計算方法

分子:
     期待される効果、有害事象に関する説明(本人に説明不可能な場合には代理人に)がなされ、および文書による同意署名がある患者数

分母:      化学療法を受けた胃癌患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

胃癌治療ガイドライン(第3版)

 

根拠

 胃癌に対する化学療法で使用される抗癌剤では、その頻度は報告により異なるものの、白血球減少、食欲低下、嘔気・嘔吐、下痢、肝機能障害、神経毒性、脱毛等の有害事象が知られている。化学療法を行う場合、これらの有害事象の不利益を上回る効果が得られなければ、その治療は患者にとって有益とはいえない。予想される効果と有害事象の不利益を考慮し、患者がその治療の有益性が判断できるように、効果と不利益、双方の情報が提供されるべきである。いずれの化学療法を行うかは、いろいろな要素により決定されるが、それぞれの治療のリスクベネフィットが説明された上で、医師と患者の協議のもとで治療が行われるべきである。治療選択においてこのような情報を患者が提供されることは、患者の自己決定を助ける意味でも重要である。しかも、そのような重大な情報については、説明を文書に残すことで、真摯な議論を助けることと考えられる。また、このような話し合いの上で下された患者の意思決定については、治療にかかわる者が統一した理解を明示的に共有することが重要である。また、話し合いの内容については診療録に記載し、治療にかかわる複数の医療関係者が統一した理解を共有し、患者の信頼を損なわないように努めなければならない。
 以上より、胃癌に対する化学療法は下痢・嘔気などの不快感が高頻度に発生し、また費用負担が無視できない。患者は納得した上で治療を選択すべきであり、胃癌に対して化学療法が行われる患者は(本人に説明不可能な場合には代理人に)、期待される効果、有害事象に関する説明を受け、文書による同意署名が行われるべきである。

 

 

参考文献

1.  がん診療レジデントマニュアル第4版 がん告知とインフォームド・コンセント P1-11, 2007 医学書院