ホーム > 大腸癌 > QI20 術後病理所見の患者説明と記載

QI20 術後病理所見の患者説明と記載

術後の記録と説明

実施率の計算方法

分子:
     外科医から切除標本の病理検査所見に基づいたStageの説明がなされ(患者に説明できない場合には代理人に)、その内容が診療録に記載されている患者数

分母:      手術を受けた大腸癌患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

JNCI、NICCQ、ACOVE-3

 

根拠

 大腸癌術後の病理組織学的所見は、その記載法が大腸癌取扱い規約に定められている。これらはいずれも今後の治療方針を決定する上で重要な情報であり、病理報告書を含む診療録に必ず記載されなければならない。また、診療録に記載するだけではなく、病理組織学的所見から予想される予後、および補助療法の必要性を含めた今後の治療方針について、患者と十分に話し合いがなされるべきである。適切な治療選択肢を提示することは、質の高い医療がすべての癌患者に提供されるために重要である。また単なる患者との話し合いのみならず、病理検査所見をカルテに記載することによって適切な治療計画の作成にもつながる。また、患者にどのような説明がなされたかは、医療従事者間の認識統一を図る上でも、診療録に記載を残すことが望ましい。

 以上より、切除標本の病理診断結果について情報提供されることは患者の権利であり、今後の治療方針についての説明に重要な情報であることから、手術を受けた大腸癌患者は(患者に説明できない場合には代理人に)、切除標本の病理検査所見に基づいたStageについて説明を受け、その内容が診療録に記載されるべきである。

 

参考文献

1.  Kobayashi H, Mochizuki H, Sugihara K, et al. Characteristics of recurrence and surveillance tools after curative resection for colorectal cancer: a multicenter study. Surgery;141:67-75.2007.

2.  大腸癌研究会編. 大腸癌治療ガイドライン 医師用 2014年版. 東京: 金原出版; 2014.

3.  Hewitt M. SJV, ed. Ensuring Quality Cancer Care. Washington, D.C.: National Academy Press.; 1999.