QI35 化学療法の延期
化学療法
実施率の計算方法
分子: |
化学療法を延期されたか、もしくは延期しない理由が診療録に記載されている患者数 | |
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分母: |
大腸癌に対する化学療法を受けているうち、以下のいずれかを認めた患者数 ・白血球数1500/mm3未満 ・血小板数5万/mm3未満 ・総ビリルビン≧3.0mg/dl ・38℃以上の発熱 ・Grade3以上の悪心、嘔吐、下痢 |
参照ガイドライン/先行研究
大腸癌治療ガイドライン(医師用・2014年版)
根拠
大腸癌に対する化学療法を行っている患者における、投与の延期、減量、中止は、そのレジメンの毒性や患者の経過や状態によって、総合的に判断されるものであり、統一した判定基準は存在しない。しかし、国内外の臨床試験では、治療の安全性を確保するための投与可能基準が設けられており、一般に、白血球数3000/mm 3未満、好中球数1500/mm3未満、血小板数10万/mm 3未満、総ビリルビン2.0mg/dL以上、AST・ALT100IU/L以上、血清クレアチニン値が施設正常値上限より高値、Grade2以上の非血液毒性を認めた場合には、これらが回復するまで投与を延期するようにプロトコルが設定されている場合が多い。これらの事項を満たさない患者では、化学療法の続行により、重篤な有害事象を引き起こす危険性が高いと考えられることから、回復するまで投与を延期するか、担当医師が総合的に判断して延期の必要がないと判断した場合には、その理由が診療録に明記されるべきである。本QIでは、特定のレジメンを対象とする評価ではないため、臨床現場における実情も考慮し、最低限の安全性の担保として、専門家のコンセンサスに基づき「白血球数1500/mm 3未満、血小板数5万/mm3未満、総ビリルビン≧3.0mg/dL、38℃以上の発熱、Grade3以上の悪心、嘔吐、下痢のいずれか」を指標とした。
以上より、大腸癌に対する化学療法を受けている患者で、白血球数1500/mm3未満、血小板数
5万/mm 3未満、総ビリルビン≧3.0mg/dL、38℃以上の発熱、Grade3以上の悪心、嘔吐、下痢のいずれかがある場合は、化学療法の継続により重篤な副作用を起こす危険性が高いことから、投与を延期するか、延期しない場合はその理由が診療録に記載されるべきである。
参考文献
特になし