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QI 4 リンパ節陽性例に対する骨シンチグラム検査

治療前評価

実施率の計算方法

分子:
     骨シンチ(骨検索)グラムが行われた患者数

分母:      Stage II~IIIの乳癌で、リンパ節転移陽性または腫瘍径5cm以上の記載のある患者数
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(前版)

分子:
     骨シンチグラムが行われた患者数

分母:      Stage ~IIIの乳癌で、リンパ節転移陽性または腫瘍径5cm以上の記載のある患者数
■変更理由
乳癌診療ガイドラインではルーチンの骨シンチはGrade Cになっている。対象を限定しているが、StageIを含めるのはふさわしくないと考え、StageII以降に変更した。
骨シンチ以外にも全身の骨検索を行っていればよいと考えられ、PETも可であると考えられた。そのため骨検索の文言を加えた。

 

参照ガイドライン/先行研究

ACOVE-3

 

根拠

 カナダのオンタリオ州でガイドラインを作成する際に行われたメタアナリシスにおいて Stage III(腫瘍径5cm以上またはリンパ節転移陽性 N2)の乳癌患者における骨転移の頻度は、対する骨転移の頻度が8.3%(1980年以降の患者)、一方でStage II 腫瘍径2~5cmまたはN1)の患者に関しても骨転移の発見率が2.4%であり、いずれにしても骨シンチグラムをStage決定の一部として推奨している。韓国からの報告でもStage II 以下の乳癌患者における骨シンチ陽性は1%以下であるのに対し、Stage III では5%程度に跳ね上がる。別の研究でもT1-2N0-1の乳癌患者で骨転移を認めたのは3%のみであったのに対して、腫瘍径5cm以上(T3-4)またはリンパ節転移陽性(N2)の乳癌患者では30%に骨転移が認められた。NCCNガイドラインでは、新規に診断された乳癌患者のうち、骨痛の症状を有する者、ALP上昇がある者、臨床病期がT3、N1、M0である者に対して、骨シンチグラムを行うことを推奨している。

 以上より、局所浸潤性乳癌患者でリンパ節転移陽性の場合、病期決定の一部として骨シンチグラムを行うべきである。

 


参考文献

1.  Myers RE, Johnston M, Pritchard K, Levine M, Oliver T. Baseline staging tests in primary breast cancer: a practice guideline. CMAJ. 2001 May 15;164(10):1439-44.

2.  Lee JE, Park SS, Han W, Kim SW, Shin HJ, Choe KJ, et al. The clinical use of staging bone scan in patients with breast carcinoma: reevaluation by the 2003 American Joint Committee on Cancer staging system. Cancer. 2005 Aug 1;104(3):499-503.

3.  Samant R, Ganguly P. Staging investigations in patients with breast cancer: the role of bone scans and liver imaging. Arch Surg. 1999 May;134(5):551-3; discussion 4.

4.  Fontana A, Delmas PD. Markers of bone turnover in bone metastases. Cancer. 2000 Jun 15;88(12 Suppl):2952-60.

5.  National Comprehensive Cancer Network. Clinical Practice Guidelines in Oncology - Breast Cancer. 2009 accessed on 3/31/2009 at www.nccn.org

6.  Cancer Care Ontario. Baseline Staging Tests in Primary Breast Cancer Practice Guideline Report # 1-14 April 30, 2003 Accessed on 3/31/09 at http://www.cancercare.on.ca/toolbox/qualityguidelines/diseasesite/breast-ebs/