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QI22 術後の発熱原因の検索

術後マネジメント

実施率の計算方法

分子:
     その日のうちに手術部位感染の有無の確認、および発熱の原因検索が行われ、診療録に記載されている患者数

分母:      術後3日目以降に38.5度以上の発熱を認めた大腸癌患者数

 

参照ガイドライン/先行研究

JNCI

 

根拠

 大腸癌の手術直後の発熱は、手術侵襲に対する生体反応であることが多いが、術後3日目以降に38.5℃以上の発熱を認めた場合、縫合不全、手術創感染、尿路感染症、呼吸器感染症(術後肺炎)、静脈留置カテーテルの感染、静脈血栓・塞栓症、輸血・薬剤に対する反応など、何らかの術後合併症が生じている可能性を考慮する必要がある。体表の観察、ドレーン性状の確認とともに、腹部の診察を行う他、必要に応じて、吻合部の検査、CT、さらに尿検査、胸部単純X線検査、血液培養、便培養等の熱源検索を進めるべきである。

 大腸癌手術後の合併症発生率および死亡率に関するNSQIPのデータベースを用いた分析によると、大腸癌手術後には感染性合併症が比較的高頻度に生じ、敗血症、肺炎、深部創傷感染を伴った患者では、術後30日以内の死亡率が有意に高かった。術後の発熱の評価と転帰の改善との関連を示すエビデンスはないが、熱源の早期発見は治療を円滑化し、結果的に術後の合併症発生率および死亡率の低下につながると考える。

 以上より、発熱の原因を可及的速やかに検索することは、術後合併症の早期発見・早期治療に有用であることから、手術を受けた大腸癌患者では、術後3日目以降に38.5度以上の発熱を認めた場合、その日のうちに手術部位感染の有無の確認および発熱の原因検索が行われるべきである。

 

参考文献

1.  Longo WE, Virgo KS, Johnson FE, et al. Outcome after proctectomy for rectal cancer in Department of Veterans Affairs Hospitals: a report from the National Surgical Quality Improvement Program. Annals of surgery;228:64-70.1998.