QI10 肝動脈(化学)塞栓療法(TA(C)E)の適応
局所療法(手術・TA(C)Eを含む)
実施率の計算方法
分子: |
TA(C)E/TAIまたは、分子標的薬治療が行われた患者数 | |
分母: | Stage IVa以下でVp0~2、かつChild-Pugh分類A、Bの肝細胞癌患者で、手術・局所療法不能の患者数(手術・経皮的局所療法が診断から3ヵ月以内に行われないもの) |
(前版)
分子: |
TA(C)Eが行われた患者数 | |
分母: | Stage IVa以下でVp0~2、かつChild-Pugh分類A、Bの肝細胞癌患者で、手術・局所療法不能の患者数(手術・経皮的局所療法が診断から3ヵ月以内に行われないもの) |
参照ガイドライン/先行研究
肝癌診療ガイドライン2005年版 RQ 44
根拠
TA(C)Eは一般的に手術不能な患者に対する治療法とされていたが、9件のRCTから687名の肝細胞癌を対象とした最新のメタアナリシスでは、無治療または不完全な治療(5FU、タモキシフェン)に対するTA(C)Eの生存率改善効果が認められている。一方、肝動脈塞栓療法(TAE)とTA(C)Eとの差は認められなかった。これらのRCTの対象患者は基本的にChild-Pugh分類がA、Bまたは奥田分類 I または II が大半の肝切除不能患者であり、切除不能な肝細胞癌に対してTA(C)Eは有効な治療法と考えられる。切除不能症例とは一般に腹水や門脈圧亢進所見や総ビリルビンの上昇が見られる症例であるが、根治を目指して経皮的局所療法などが行われる場合もあることから、これらが行われない例で、肝機能が著しく悪いものを除いて基本的な治療としてTA(C)Eを行うことが望ましい。
また、SHAP trialの結果、手術・経皮的局所療法が適応外の場合、分子標的薬の一つであるソラフェニブの予後延長効果が示された。この知見は肝癌診療ガイドライン2009年版には取り入れられていないものの、2009年5月の保険収載以降、臨床現場では広く受け入れられいると思われる。
以上、手術・経皮的局所療法が行われない場合、TA(C)Eや分子標的薬治療では無治療に比較して予後改善が望まれるため、Stage IVa以下でVp0~2、かつChild-Pugh分類A、Bの肝細胞癌患者で、手術・局所療法不能の患者(手術・経皮的局所療法が診断から3ヵ月以内に行われないもの)には、TA(C)Eもしくは分子標的薬治療が行われるべきである。
参考文献
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