ホーム > 胃癌 > QI14 cT1N1-3またはcT2-4aN0-3の胃癌に対する定型手術

QI14 cT1N1-3またはcT2-4aN0-3の胃癌に対する定型手術

治療・術式選択

実施率の計算方法

分子:
     初回治療として定型手術が施行されている、または施行されない理由が診療録に記載されている患者数

分母:      cT1N1-3またはcT2-4aN0-3の胃癌患者数
(平成22年3月改訂) 前版を表示隠す

(前版)

分子:
     初回治療としてD2以上の胃切除術が施行されている、または施行されない理由が診療録に記載されている患者数

分母:      sT1N2またはsT2-3N0-2の胃癌患者数
■変更理由
D2以上とした場合に、理由無く傍大動脈リンパ節を郭清してしていても可と判断してしまう。そのため郭清度だけではなく、定型手術とした。

 

参照ガイドライン/先行研究

胃癌治療ガイドライン(第3版)

 

根拠

 わが国の定型手術は独自のdata-based medicineともいうべき手法により発展してきた。胃癌取り扱い規約に従った原発巣の詳細とリンパ節転移に関する膨大なデータを分析し、「ある程度の転移頻度があり、たとえ転移があっても郭清すれば十分な生存率が期待できる部位のリンパ節は郭清効果がある」とする論理で、わが国の2群リンパ節(D2)郭清(定型手術)は確立された。欧米で行われたD1郭清とD2郭清を比較したランダム化比較試験では、予後で差がなかったとする報告があるものの治療成績は術後合併症の発生率も高く、生存率も劣っていることからわが国への適用可能性は低い。2006年台湾からの報告では3名の熟練した外科医が行った単施設でのRCTで、D2群がD1群を5年生存率で有意に上回った。
 以上より、cT1N1-3及びcT2-4a(胃癌取扱い規約13版ではsT1N2またはsT2-3N0-2)の胃癌患者は、第2群リンパ節への転移の可能性があることから、初回治療として定型が行われるか、行われない場合にはその理由が診療録に記載されるべきである。

 

参考文献

1.  日本胃癌学会, ed. 胃癌治療ガイドライン 第3版. 東京: 金原出版; 2010.

2.  Sasako M, McCulloch P, Kinoshita T, Maruyama K. New method to evaluate the therapeutic value of lymph node dissection for gastric cancer. Br J Surg 1995;82:346-51.

3.  Wu CW, Hsiung CA, Lo SS, et al. Nodal dissection for patients with gastric cancer: a randomised controlled trial. Lancet Oncol 2006;7:309-15.