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QI26 化学療法中の臨床検査・所見

化学療法

実施率の計算方法

分子:
     各レジメンの開始前に以下の事項が評価されている患者数
 • Performance Status(PS)

分母:      化学療法を受けた胃癌患者数


分子:
     治療開始後最初の3ヶ月間は、月1回以上、下記の血液検査がなされている患者数
 • 白血球数(好中球数を含む)
 • 血小板数
 • 総ビリルビン、AST、ALT
 • 血清クレアチニン値

分母:      化学療法を開始された胃癌患者数
(平成22年3月改訂) 前版を表示隠す

(前版)

分子:
     各クールの開始前に以下の事項が評価されている患者数
 • 白血球数(好中球数を含む)
 • 血小板数
 • 総ビリルビン、AST、ALT
 • 血清クレアチニン値
 • Performance Status(PS)

分母:      化学療法を受けた胃癌患者数
■変更理由
各クールの開始がどこなのかが判定の難しい場合がある。PSについては最低限、各レジメン開始前に評価していることを確認するようにした。
■変更理由
・各クールの開始がどこなのかが判定の難しい場合があるので、月1回とした。
また、データ収集の負担を軽減するためにデータ収集の期間を限定した。最初の3ヶ月は術後補助療法でも通常の化学療法でも変わりなく月1回を基準として良いと考えたので、最初の3ケ月とした。

 

参照ガイドライン/先行研究

胃癌治療ガイドライン(第3版)

 

根拠

 胃癌に対する化学療法を行っている患者における投与の延期、または減量、中止は、そのレジメンの毒性や患者の経過や状態によって、総合的に判断されるものであり、統一した判定基準は存在しない。しかし、国内外の臨床試験では、治療の安全性を担保するための投与可能基準が設けられており、一般に白血球数3000/mm 3未満、好中球数1500/mm3未満、血小板数10万/mm 3未満、総ビリルビン2.0mg/dL以上、AST・ALT100IU/L以上、血清クレアチニン値が施設正常値上限より高値、Grade2以上の非血液毒性を認めた場合には、これらが回復するまで投与を延期するよう、プロトコルが設定されている場合が多い。これらの事項を満たさない患者では、化学療法の続行により、重篤な有害事象を引き起こす危険性が高いと考えられる。臨床試験以外の化学療法においても、予測される利益と不利益のバランスで個別に判断されるべきであるものの、安全性の確保のためには、少なくとも月に1回以上確認することが必要といえる。また、これらの条件を満たさない場合は、回復するまで投与を延期するか、担当医師が総合的に判断して延期の必要がないと判断した場合には、その理由が診療録に記載されることが望ましい。

 以上より、白血球数(好中球数を含む)、血小板数、総ビリルビン、AST、ALT、血清クレアチニン値を含む事項を検討されずに化学療法を継続すると、より重篤な副作用を起こす危険性が高いことから、胃癌に対する化学療法を受ける患者は、初回治療開始後最初の3ヶ月間は、月1回以上これらの事項が確認されるべきである。また最低限、各レジメンの開始前にはPSが確認されているべきである。

 

参考文献

特になし