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QI 7 治療法選択の患者への説明(肝障害度A、B)

局所療法(手術・TA(C)Eを含む)

実施率の計算方法

分子:
     施行されなかった方の治療についての診療録記載がある患者数(説明文を渡した記載でも可)

分母:      肝障害度AまたはBで腫瘍径が最大3cm以下、個数3個以下の肝細胞癌に対して肝切除術または局所療法を受けた患者数
(平成23年2月改訂) 前版を表示隠す

(前版)

分子:
     両方の長所、短所の説明についての診療録記載がある患者数

分母:      肝障害度AまたはBで腫瘍径が最大3cm以下、個数3個以下の肝細胞癌に対して肝切除術または局所療法を受けた患者数
■変更理由
⇒行われていない治療法の説明を行うことが大事であるとの判断から、他の治療選択肢の提示があれば可とするようにした。説明用紙にきちんと記載があれば、説明用紙を渡したという記載でも可とした。

 

参照ガイドライン/先行研究

特になし

 

根拠

 肝切除術と経皮的局所療法について、大規模なRCTによる比較はなく、また、そのどちらにも長所・短所が存在する。第17回全国原発性肝癌追跡調査報告では、腫瘍径2cm以下の肝障害度A、Bの患者の5年生存率は各76%、58%である。ラジオ波焼灼療法(RFA)では肝障害度Aで76%、肝障害度Bで0%、マイクロ波凝固療法(MCT)では各50%、36%、経皮的エタノール注入療法(PEI)では各43%、33%であるが、手術に比較して侵襲性は少ない。患者が自らの治療方針について意思決定を行うことは患者の権利でもあり、またよい医師―患者関係のための基本である。これは特にさまざまな治療方針がある中でどのようなものが最も有効であるのかという決定的なエビデンスに欠け、選択の余地が広い場合には重要である。
 以上、肝障害度AまたはBで腫瘍径最大3cm以下個数3個以下の肝細胞癌に対しては、肝切除術と経皮的局所療法の両方の適応があり、患者が情報を得て選択することが重要であることから、肝切除術または局所療法を受ける患者には両者の長所、短所が患者に説明され、診療録に記載されるべきである。

 

 

参考文献

1.  日本肝癌研究会. 第17回全国原発性肝癌追跡調査報告. 京都; 2006.