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QI23 肝動脈(化学)塞栓療法(TA(C)E術)後のフォロータイミング(画像検査)

フォローアップ

実施率の計算方法

分子:
     1年以内は少なくとも3ヵ月ごとの間隔で、画像検査(禁忌がない限り造影CT/MRI)のフォローがされている患者数

分母:      TA(C)Eを受けた肝細胞癌患者数
(平成23年2月改訂) 前版を表示隠す

(前版)

分子:
     少なくとも3ヵ月ごとの間隔で、画像検査(禁忌がない限り造影CT/MRI)のフォローがされている患者数

分母:      TA(C)Eを受けた肝細胞癌患者数
■変更理由
長期間におよび寛解が続く場合は、測定間隔はもう少し長くなることはあるかもしれない。「1年以内」は綿密にみるべきと考えられ、「1年以内」の条件を加えた。

 

参照ガイドライン/先行研究

肝癌診療ガイドライン2005年版 RQ 48

 

根拠

 TA(C)E後にどの程度の間隔でフォローを行うのが予後に最も影響するのかを吟味したRCTは存在しない。TA(C)E後の再発率は非常に高率である。ある一定のコンセンサスとして、欧米のSociety of Interventional Radiology のTA(C)Eの質改善ガイドラインでは、特に癌が進行していることが明らかでない場合には3~4ヵ月ごとの画像検査を推奨している。また、研究上もTA(C)Eの予後を研究したRCTやコホート報告では、3ヵ月ごとの画像検査(最初のみ1ヵ月後の場合もある)、または3ヵ月ごとの診察と6ヵ月ごとの画像検査を行うのが通例である。本QIに関しては専門家パネルの間で他のQIとの整合性を保つために4ヵ月を採用した。また、3ヵ月の間隔に異議はないものの、被爆のリスクなどを考慮して、ある程度は超音波によるフォローも許容されるとの意見も出された。確固たる結論を出すためには、RCT等による研究が必要と考えられ、評価を考える上では、実施率について超音波を含めたフォローと、CT/MRIのみのフォローの間隔で計算し、その違いなども考慮した上での検討が必要ともいえる。
 以上、未決着の部分はあるものの、一般にTA(C)E後は再発のリスクが高く、その早期発見に努めることが重要であるため、TA(C)Eを受けた肝細胞癌患者は、少なくとも1年以内は4ヵ月ごとの間隔で、画像検査(禁忌がない限り造影CT/MRI)のフォローを受けるべきであると考える。また、他院でのフォローアップをされている患者に関しては、診療録にその結果が記載されるべきである。

 

参考文献

1.  Lee JK, Chung YH, Song BC, et al. Recurrences of hepatocellular carcinoma following initial remission by transcatheter arterial chemoembolization. Journal of gastroenterology and hepatology 2002;17(1):52-8.

2.  Takayasu K, Muramatsu Y, Maeda T, et al. Targeted transarterial oily chemoembolization for small foci of hepatocellular carcinoma using a unified helical CT and angiography system: analysis of factors affecting local recurrence and survival rates. Ajr 2001;176(3):681-8.

3.  Fattovich G, Stroffolini T, Zagni I, Donato F. Hepatocellular carcinoma in cirrhosis: incidence and risk factors. Gastroenterology 2004;127(5 Suppl 1):S35-50.

4.  Brown DB, Cardella JF, Sacks D, et al. Quality improvement guidelines for transhepatic arterial chemoembolization, embolization, and chemotherapeutic infusion for hepatic malignancy. J Vasc Interv Radiol 2006;17(2 Pt 1):225-32.

5.  Lo CM, Liu CL, Chan SC, et al. A randomized, controlled trial of postoperative adjuvant interferon therapy after resection of hepatocellular carcinoma. Annals of surgery 2007;245(6):831-42.

6.  Llovet JM, Real MI, Montana X, et al. Arterial embolisation or chemoembolisation versus symptomatic treatment in patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomised controlled trial. Lancet 2002;359(9319):1734-9.